2012年10月29日月曜日

【報告】東北応援バスツアー・被災地の今を見つめた48時間レポート(3)


被災して骨組みだけとなった防災対策庁舎の前に咲く、一輪の花。これは、今回の参加者の一人が撮影した一枚の現地の風景です。津波によって何もなくなってしまった場所で、505日が経過。今では一面、うっそうと草が生い茂り、時間の経過を感じさせます。その中で、凛と咲くその姿は、一つの希望の花のようにも見えます。

今回は、前回に引き続き、東北応援ツアー48時間ドキュメントの後半をレポートします。


29日午前8時。

昨晩、夜遅くまで初日に経験した出来事を宿舎でシェアしたメンバー達で、朝の漁港を散歩。かつてを知るはずもない我々にとっても、かつては家屋があったであろう場所に、何もかもが津波にさらわれてしまったことが、はっきりと分かる形で、その爪痕は残されていました。

その漁港を一望できる場所に、自分の背丈よりも小さい程度の慰霊碑が建てられていました。メンバー皆が、自然とその前に立ち、手を合わせ、505日前の出来事に想いを寄せました。

その傷跡は、その後も垣間見えました。復興応援パフォーマンス会場である伊里前(いさとまえ)福幸商店街に向かう道すがら、南三陸町内を巡回。至る所で、かつてあったであろうインフラが突然なくなっている風景が見え、メンバー皆が心痛な想いとなりました。


私を含め、1年前に被災地に向かったメンバーにとっては、違った見方をしていました。それは、津波によって何もかもさらわれてしまった、まっさらだった大地に、草が青々と一面に生えていたことです。

一見、のどかにも映る風景は、1年前に見た「ゼロの風景」が脳裏に刻まれている我々にとっては、複雑で、奇妙な思いに駆られました。

草が生い茂った風景は、何もない風景と比べて、不思議と、どこかで安心してしまう気持ちがある一方で、一向に進まない現地の復興の現状を、つくづく思い知らされました。


午前10時。パフォーマンス会場である伊里前福幸商店街に到着しました。歌津地区にあった伊里前(いさとまえ)商店街は、震災で店舗が全壊しました。昨年12月、歌津公民館跡地に商店街の店主を中心に、仮設商店街としてスタートしたのが、この伊里前福幸商店街です。

この商店街では、南三陸の海の幸が堪能できる商品も多く取り扱われており、遅めの朝食をとる者もいれば、お土産として海産物を買っていく者もいて、買い物も賑やかで盛り上がりました(とてもおいしかったです!)。


いよいよ、南三陸で現地の復興を応援する日ということで、皆で協力して会場設営。

チアリーダー達も気合のパフォーマンスを展開。ブレイクダンスはなんと特設ステージで披露。

商店街に買い物に来たお客さん達と一体となって盛り上がりました。

ギャラリーとして我々のパフォーマンスを観て下さった方々からは「本当に日頃は東京で一般の社会人をやってる人達なんですか?」という、驚きの感想(?)を頂きました。

パフォーマーの皆さんは、この日のために、平日の仕事が終わった後や休日を使って、被災地を応援するという想いのもと、練習を積んできました。

彼らは、決して芸能人やタレントではありません。平日はオフィスで働く普通の社会人たちです。しかし、かえってそのことが、現地の方々に共感してもらえた、そのように感じました。

プロではない努力を、その想いとして現地に届けることができました。

パフォーマーの皆さん、お疲れ様でした。

伊里前商店街で復興応援パフォーマンスを通して現地の人達と触れ合い、再び町内を巡回。

昨晩、語り部体験をした際に寄った南三陸町防災対策庁舎に、再び訪れました。

夜だったのであまり見えなかった防災庁舎の全貌が、その時ははっきりと見えました。

昨晩の語り部ガイドの話を思い出しながら、メンバー全員で黙祷を捧げ、被災地の一日も早い復興をお祈りしました。

この防災庁舎をめぐっては、さまざまな議論が巻き起こっています。それは、存続か、解体か。広島の「原爆ドーム」のように、災害の悲惨さを教訓として後世に伝えていくための、メモリアル施設として存続させていくべきである。そういう主張がある一方で、あの日に起きた凄惨な出来事を、徒に思い返してしまうので、一日も早く解体すべきである、という主張もあります。

両者食い違う意見が、現地でも巻き起こっていることについて、我々にできることは何か。皆がこの場所で考えました。

午前12時。

地元の人達が協力して立ち上げた「南三陸さんさん商店街」で楽しくお買い物をしました。「買う」という行動も、経済的な復興支援の一つだと考えています。南三陸の人達と触れあいながら、会話を交わしながらのお買い物は、それだけで、お金では買えない付加価値得ることが出来ます。そして、なんといっても食べ物がおいしい!!私は焼きウニや焼きサザエ等に下鼓を打ちましたが、本当においしかったです。毎日の「買う」という行為を、少し変えるだけでも社会は変わる、かもしれないと思わせてくれる旅でした。

その後は東京に向かって一行はバスで移動しました。車中はずっと、2日間の体験したことや感動したことを語り合いながら、そして大騒ぎ?しながら岐路に着きました。しかし、このツアーはほんの入口、きっかけづくり。本当の復興支援は、東京に戻ってから。我々T2Sは、今回現地で構築したネットワークを活かした、東京×東北の連携を、積極的に展開していきます。

以上で、3回に渡る現地レポートは終わりです。長文ご覧いただきありがとうございました。次稿からは、東京に戻ってからの、復興支援の取組みを紹介します。

レポート:平間忠太

2012年10月16日火曜日

8.25本気の大人会議でT2Sの活動をプレゼンしました!

8月25日に行った本気の大人会議で、これからの社会について議論しました。


その中で、議論の各となるべく、T2Sの活動をベースにプレゼンをしました。

パート1

「震災後の社会デザイン 〜市民化するイノベーションの時代〜」

パート2

・東北に福あれ!復興応援バスツアー

 







・都庁チアリーディング 「リリーガル」復興応援バスツアー活動報告

・ゆらぐLEDで東北復興とまちづくりへ「登米のゆらぐ街路灯デモ」







・うるしで被災4県をつなごう!うるしプロジェクト

8.30板橋区職員 社会貢献の輪広げ隊(SO-CAP)の会合に参加しました!

8月30日、板橋区役所で行われた板橋区職員の集まり、社会貢献輪広げ隊(SO―CAP)の会合に参加させていただきました。SO―CAPは、


「これからの区職員は、まちに出て、まちの人とどんどん接し、これからの地域社会のことや行政のあり方について鋭敏な感性を磨いていく必要があります。また、仕事以外の場で地域社会に貢献し感謝されることは、職員自身が得るものが大きいと考えています。そのため、区職員自身が自分の意思で、社会貢献活動に自主的に参加しやすくするしくみづくりが必要でした。そんな活動をするために私たち「社会貢献の輪広げ隊」(SO-CAP)が結成されました。」

という目的で設立された板橋区職員有志の集まり。以前からT2Sのイベントに参加いただいた板橋区職員の方からご紹介を受けて、知り合いました。

会合では、SO-CAPの活動報告の後に、2つお願いをして参りました。

・T2Sとの連携
・9月8日に行うえどぷろ板橋への協力とその後の板橋の社会貢献活動の連携

です。

早速、SO-CAPのニュース臨時号を発行していただき、板橋区の職員全体へ、えどぷろ板橋の緊急告知をしていただきました。

仕事でも社会のために働く。さらに、自分たちで考え、地域で活動している人たちを一緒に考え、連携することでさらに素晴らしい活動ができると思います。

SO-CAPの皆さま暖かく受け入れてくださり、本当にありがとうございました。

これからもいっしょに楽しく活動して行きましょう!

9.4新宿区エコ事業者連絡会 川崎火力発電所を見学しました!

川崎火力発電所に新宿区エコ事業者連絡会の皆さんと見学に行ってきました。

今日の目玉は浮島の今のところ日本一のメガソーラーと千鳥町1500級コンバインドサイクル発電。普段入れてもらえない中央制御室で写真を。シャープ製のソーラーパネルは東京ドーム2つ分の敷地に敷き詰められていましたが、対象なのは世界最先端の技術のコンバインドサイクル発電。

で行うとターボチャージャーを積んでいるような発電で最初1500の熱を出して発電しますが、煙突から蒸気を排出するときには100になるまで熱を使い切る素晴らしい技術力に感銘しました

2012年8月28日火曜日

【募集】えどぷろ城北・板橋、ボランティア募集!(9月8日@大東文化大学)

都内全域の地域を盛り上げる「えどぷろ・たまぷろ」がついに始動しました。ボランティアスタッフを大募集です。待望の第1弾は、えどぷろ・城北から!


【えどぷろ板橋@大東文化大学を行います!】

板橋、大東文化大学で、みんなでまちを盛り上げ、つながりをもって、市民の手で地域や社会的課題に取組む継続的活動の拠点となるイベントを行います!

どうぞ、皆さん9月8日に大東文化大学におこしください!

【えどぷろ板橋のボランティアスタッフの募集】

いろいろな方々とつながりができます。楽しいイベントを企画しましたので、是非、皆さんイベントのスタッフとして参加してみてください!

■えどぷろ板橋について

日時:平成24年9月8日(土)10:00~17:00 終了後打ち上げ

(時間は参加可能なところまでで大丈夫です。)

場所:大東文化大学板橋キャンパス(東武練馬から無料バス)

http://www.daito.ac.jp/access/itabashi.html

目的:

・板橋の市民活動の拠点をつくり
・市民や企業、学校の継続した活動ができるネットワークをつくり
・地域活性(みんなが楽しみながら、地域の活力を上げる。)
・強い地域づくり(災害、環境、産業、教育、きずな・・)

集客数:2000人予定
■ボランティアスタッフに参加して期待できること

・地域への社会貢献!
・地域で活動している人とつながりができる!
(企業、商店、学校、ボランティア、市民・・)
・楽しい企画のスタッフをすることで楽しくイベントに参加できる!

支給:お弁当、お茶などの支給をします。えどぷろ終了後、軽く打ち上げをします!

交通費:現地への交通費は実費負担でお願いします。

■ボランティアスタッフ ミーティング

9月1日 大東文化大学 正門13時45分集合 (会議室を予定)

■各イベントの内容(案)

①さんだる相談会
②自転車街さんぽ(板橋いっぴんのお店をめぐる)
③大東大中村ゼミ防災マップ紹介
④プチそもそも会議
⑤そもそも会議パネルディスカッション
⑥子どもいっぴん商店街
⑦被災地支援・環境活動紹介
⑧南三陸町バスツアー報告

==(イベント詳細)==
①さんだる相談会
小中学校と高校を地域で結ぶイベント。 参加者にカラーのネームタグを配布。色によ り 自分の地元の学校がどこか視覚的に認識でき る仕掛け

備考:色分けを他のコンテンツと連動す ることも検討
経緯:進学・進路に「地域」の概念をもたせ たイベント 板橋は50校ほどに参加を呼び掛け
②自転車 街さんぽ
予め作成した街のMAPをもとに、ラリー形式 で 地域を巡るゆるやかな自転車競技イベント。
板橋の地域の宝探しを地域に密着した板橋いっぴんの商店街を混ぜて行います。

備考:MAPは作成済み
経緯:板橋在住の方が無料で参加。板橋区のいっぴんの商店をめぐる自転車ラリー。
③中村ゼミ防災マップ紹介

板橋区の防災マップを作成した中村ゼミ生に よる ショートプレゼンテーション。震災の微災・ 減災を 目的とした各街のマップづくりを推奨する。

経緯:会場提供いただく大東文化大学が打ち 出したいテーマが、防災マップ。普段主催する会には20名ほどしか参加がない。今回のイベントで、 地域の方々への 認知を高めたい。

④プチそもそも会議

”いい学校”とは?”働く”とは?”幸せ”とは? ひとりひとり定義の異なるテーマを「そもそ も」問い 合い、お互いの考え方や価値観に触れること でコミュ ニケーシュンを深める対話の場。大人と子ど もが上下 の別なく互いに深く語り合える会議体です。
備考:大人と子供が共に語れるイベント。進 学、進路について 家庭でもそもそも語り合う機会にしてもらいた い。

⑤そもそも会議パネルディスカッション

そもそも会議とは何か?都庁や学校で行われた学生と大人の「そもそも 会議」の様子や、いじめ、将来など、不安の多 い課題に対して 会議で述べられたコメントなどを紹介。そも そも問う行為 の共有がもたらすコミュニケーションの変化 についてパネルデ ィスカッション形式で語る。

⑥板橋いっぴん商店街

地域の商店街の人たちと地域の人たちや子ども達のふれあい の場として、板橋いっぴんのご紹介ブースと商店でお買い物ができるように致します。
⑦被災地支援・環境活動紹介

被災地の人たちに花火を届けたい。そんな1 人の大人の 思いから実現した東北10箇所の大花火大会「Light Up Nippon」の予告編上映会や、おやじの会、PTAなどが取り組む様々な被 災地支援 活動や地域・環境活動を紹介します。被災地 や街のために 自分にできることはないか、模索している地 域の人同志で つながる機会を提供する。
備考:被災地支援と地域防災は、興味層が同じであろうことから、関連付けするコンテンツとして用意する。

経緯:自助・互助・共助のメッセージを伝えるためのコンテンツ。
⑧南三陸町バスツアー報告 震災から500日が経過し、テレビ、マスコ ミに取り上げ られることが少なくなった被災地。今、被災 した各地で 取り組まれている復興活動の例として、南三 陸町、登米市 の復興の様子をご紹介します。

以上です。どうぞよろしくお願いします!

※申込先 : 連絡先(Eメール)をご記入の上こちらへ⇒TokyoThinkSustainability@gmail.com

2012年8月19日日曜日

【告知】本気の大人会議でT2Sもプレゼンします。8.25@横浜市市民活動支援センター

この度、T2Sが「本気の大人会議」において東北応援バスツアーの報告をします。

未曾有の3.11以降、社会に変革を起こそうという動きは盛り上がっている。しかし、その動きは本当に社会を変革できるだろうか?これまで見逃されてきた様々な日本の問題が3.11を経て顕在化したのに変わらないという状況である。「本気の大人会議」を主宰してきた我々は、あらためて「いま、私たちは何をすべきなのか?」を語り合い、行動に移していく機会が必要と考え、大討論集会を開催することとした。集会は、比較的少人数で、社会を変えるために戦略的に何をすべきかを議論するパート1と、広く参加者を募って被災地からの報告とグループディスカッションを経て、参加者が自分が今後実際に「する」ことを他の参加者の前で発表するパート2を実施する。
■パート1 8月25日(土) 14:30-17:00 

横浜市市民活動支援センター 4F ワークショップ広場https://opencity.jp/yokohama/pages/gp/idx.jsp?page_id=10

以下の3つの短いプレゼン後参加者全員で議論する。人数によってはグループワークも行う。いま我々の社会はどんな状況か、なぜこのような社会になったのか、を議論し、その処方箋を探っていく。議論のポイントは当日の流れで決めるが、量の拡大モデルから質の拡大モデルにシフトできるか? 大人達は自分の現世利益を犠牲にして未来へ投資できるのか? などを議論したい。
「被災地から見えた近代文明」 
アミタホールディングス(株)代表取締役会長兼社長 熊野英介

「震災後の社会デザイン 〜市民化するイノベーションの時代〜」
TokyoThinkSustainability スタッフから 

「本気で社会変革を起こす可能性」
持続可能なコミュニティを本気で作る大人たちの会 代表 鏑木孝昭

参加者は、本気の大人会議のメンバー、TokyoThinkSustainabilityが主催する「東北応援バスツアー」の参加者、横浜市民放送局のメンバーから募集し、広く参加を募ることはしないが、それ以外の参加も歓迎する。

■パート2 

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    大討論集会 in 横浜 「どうする? 本気の大人達!」

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未曾有の3.11以降、「何かしなければ!」との想いを持った人々が増えています。しかし、その想いを実際の行動に移せている方はそう多くなく、行動が成果を挙げている方はより少ないのではないかと考えています。私たち「本気の大人会議」は停滞する社会の突破口を作るべく、2010年8月から活動してきました。3.11以降、そのメンバーの多くが被災地の支援に参画しました。このたび、その経験をシェアし、首都圏に住む私たちが何をすべきかを話し合う討論会を、横浜市民放送局の協力を得て開催することにしました。多くのみなさまの参加、お待ち申し上げております。

2012年8月25日(土) 17:45~20:45
横浜市市民活動支援センター 4F ワークショップ広場
(横浜市中区桜木町1-1-56 みなとみらい21 クリーンセンタービル4F・5F)

https://opencity.jp/yokohama/pages/gp/idx.jsp?page_id=10

[アジェンダ]

① 被災地からの報告(60分)

大船渡応援団 鏑木孝昭 「大船渡復興支援と見えてきた課題」 

TokyoThinkSustainabilityが主催する「東北応援バスツアー」の参加者から
- 「うるしで被災4県をつなごう」「揺らぐLEDで東北復興」などを予定

アミタHD 会長兼CEO 熊野英介 「被災地から見えた近代文明」

② 少人数グループに分かれてディスカッション・交流(80分)

- 参加者それぞれが「何をすべきか」考えるためのディスカッション

③ 参加者の発表・まとめ(40分)

- 参加者のみなさんに、今後それぞれなさることを発表いただきます。
  (全員発表のお時間はありません。希望される方を優先いたします)
参加費 : 無料(会場に募金箱を置かせていただきます)
主催  : 「本気の大人会議」(主宰 : 熊野英介&鏑木孝昭)
       TokyoThinkSustainability
協力  : 横浜市民放送局
連絡先 : kabu@ops.dti.ne.jp(鏑木)
なお、21:15から中華料理のお店で懇親会を予定しております。

 申込先はこちらhttp://kokucheese.com/event/index/46770/

【寄稿】東北応援バスツアー・被災地の今を見つめた48時間レポート(2)

復興応援バスツアーの目的の一つに、東北の方々とつながることもありました。


今回のバスツアーでは、東北まちづくりオフサイトミーティングの方々と登米市南三陸フェスティバルで合流し、東京からのメンバーや現地合流した方々あわせて52名で行動しました。

28日に参加された仙台市の紺野さんとオフサイトミーティングを主催されている後藤さんからレポートをいただきました!以下のとおりご紹介します!


仙台市 紺野哲成さんからいただいたバスツアーのレポート

【概要】とくに印象に残った点を中心に

1.防災・災害対応

(1)チリ地震津波のときの経験がかえって被害を広げた可能性がある。
 ・そのときの津波の規模が基準になって判断したため。

(2)助かったケースは、ルールではなく自分で判断し、行動した場合のことがある。
 ・普段なら屋上で良かったものを、山に誘導した判断があったために、助かった命がある。一方通行を反対に行って逃げたために助かった命がある。
 ・普段のルールや取り決めを、緊急時には行政に関わる者(公務員)が何を大切にして、どう判断するかが問われることがある。

(3)歴史に残る佐藤正助教育長による「校舎は高台に」という英断があったこと。
 ・当時は不便なところに校舎建設をするということで反対もあった。
 ・歴史家でもあった佐藤教育長は、津波の危険性を鑑み、校舎を高台にした。

   「誰も褒めてくれない!」

(4)支援物資の需給の一致が難しい。
 ・FBやTwitterで野菜が不足しているとコメントされると、大量に届いてしまったりする。
 ・自分の送りたいもの、したいことではなく、相手が何を望んでいるかを知る・考える必要がある。

2.登米・南三陸地域の現状

(1)ハードウェア面ではあまり変わっていない。
 ・報道されていないから、都内では復興が進んでいるんだと思っているかもしれないがそんなことはない。取り壊されずに残っているものも多い。
 ・また、津波の被害のあった病院の建物に通っている人もいる。取り壊されたら通えなくなる。

(2)この夏の海水浴場は気仙沼の一箇所のみ。つまり、夏の海の観光による復興はできない。

(3)風評被害がある。米の検査は特に入念にしているが、取引ができなくなっている例もある。

(4)事業者によって、復興レベルが異なる。利益が出せるところまでいっている事業者もあれば、出荷することがやっとという事業者もある。

(5)仮設住宅として登米に来て、このまま住みたいという人もが増えている。
 ・60才を過ぎて、また家を建ててというのは困難。

 『事実を知ってほしい。これからが本当に支援をしていただく必要がある。』

3.地域間協力、観光協力

(1)登米と南三陸

 ・震災前からの交流がある。人間的つながりもある。
 ・登米の観光物産協会の設立に際しては、南三陸町の観光課や協会に教えてもらった。
 ・山のものと海のものとの組み合わせが、物産や観光としても相互補完にある。

(2)あえて宮城・岩手の県境をなくしての観光ガイドブックの作成
 ・世界遺産の平泉もいれて、パンフレットを作成している。
 ・岩手県南(住田町、大船渡市、陸前高田市、一関市、平泉町)、宮城県北(栗原市気仙沼市、登米市、南三陸町)をひとつの地域として。
 ・各地域の担当者間での交流を深めている。

4.震災前の課題の顕在化

 ・雇用や医師(病院)の不足、少子高齢化は震災で起きたことではなく、震災前からの課題。
上記以外にもいろいろと議論やお話、質疑応答がありました。
【所見】

都庁の方々をはじめ、多くの方々がバス移動の疲れを見せず真剣な表情で考える姿に刺激を受けました。きっと、それは「若さ」だけではないでしょう。また、エネルギー溢れるチアリーディングやダンス、もっと多くの人に見せてあげたいとも思いました。そして、数多く重ねただろう練習。驚きも提供できる面白さ。一緒に昼食をしたときには、普通の若い公務員に見えた3人があんなふうに踊るなんて。
<各論>

1.防災・災害対応

・緊急時の公務員の判断。これは、消防や医療に携わる人間以外も問われることを自覚する必要がある。
・何を大切にして判断するか、かといって責任回避の判断停止はNG。
・記録や記憶で追体験すると同時に、普段の訓練が重要と感じる。
・また、施策には「歴史的な評価」という軸があることを、普段もう少し意識しても良いと感じた。仙台市の戦後の植樹の話とも共通する。
・今の名誉、報酬、単年度の成果ばかりを求めず、自分の仕事が根拠のある正しさがあれば自信を持って取り組むべき。
・思いつきや思い込みはNGだが、佐藤教育長のような歴史家としての判断を加味した施策には敬意。
2.登米・南三陸地域の現状

・私はTVを持っていない、見ていないのだが、被災地にとっての懸念は、誤った思い込みや偏った情報。そして関心度の停滞。
・実際に関東圏でのマスメディアの露出度はかなり減っているとの話あり。
・大きな「報道」とは別に、こうしたリアルとインターネットとを通じた、人の関係からの情報が、新しい「世論」をつくる。こちらの可能性にかけたい。
3.地域間協力、観光協力

・ガイドブックを見て、南岩手と北宮城をマップにして観光客に提示することは、とても合理的と感じた。
・社会経済圏、観光圏としては、県単位で考えるよりもはるかに、正しいと思う。
※今の都道府県ができる前にあった、水沢県の県庁所在地は登米。
http://www.tt.rim.or.jp/~ishato/tiri/huken/k-tohoku.htm
・新幹線を縦にそこから横に各地域を見るよりも、ひとつの社会経済圏、観光圏として、充実させようという、県を越えた取り組みは嬉しい。
・あとは、実際に観光しやすい交通の便やルート、ブランディングの開発。
・文化・言語圏も含めた歴史的つながりなどの情報もほしいところ。
・どこかで誰かに県境は引かれたとしても、引かれた県境を前提に考える必要は無い。線を越えて、相互に協力補完することでより新しいアイデアも生まれる。
・アイデアを生んでいく活動そのものが、また、人と地域の活性化を生む。
4.震災前の課題の顕在化

・持続可能な産業→雇用の難しさを改めて感じる。
・外部の人間も取り込みつつ、その地域の再発見を繰り返し、外部にも訴求。こうした活動から、産業→雇用に結びつけることが近道。
・補助や一時的に大きな資本への依存度を高めることは、社会経済の継続性という意味での効果を得ることは難しい。

 上記の考えは、参加者に共通した考えだったと思う。

というわけで、仙台市役所の食堂に「登米ポーク」がなぜかあるかという背景が分かった、というおまけまでついてきた、充実した一日でした。
※仙台市のメンバーには、仙台市の食料自給率と登米の関係について、別途お話します。日常的に消費する側には気がつかないことも多いですね。。。
 * * *

【謝辞】

地域と地域とが出会い、ともに課題を考えていくような機会を作ってくださり、ありがとうございました。東京の職員の方々の自然さと真剣さとが両立している雰囲気が、接していてとても気持ちが良かったです。
<山形市 後藤好邦さんから>

復興支援のキーパーソンからのお話などについては紺野さんからご報告していただきましたので、私の方からは登米市の布施市長のお話についてご紹介したいと思います。

 質疑のなかで、私から「若い自治体職員にメッセージを送って欲しい」とお願いしたところ、非常に良いお話をしていただきました。
・思ったことは口に出す。
・夢を持っていても、口に出さなければ何も始まらない。
・口に出せば、その言葉に誰かが共感してくれる。
・人との関わりのなかで物事は生まれていく。
・自治体職員として自分の仕事に誇りをもって欲しい。
・自分が携わっている仕事、その先にある人のことを考え仕事に取り組んで欲しい。
・やりたくない仕事に携わることで、隠れていたスキルや新たな気付きが得られる。
・やりたかった仕事だと、あらかじめ成功する姿が想像できる、だから成功した時の感動も薄い。
・仕事がうまくいった時の感動は最後の一瞬。
・それまでのプロセスのなかでいろいろな人と関わり自分自身を変えて欲しい。

 登米市長のお話は自治体職員に限らず、すべての方に参考となる話だったと思います。
 最後に、登米市長の前に話をしていただいた震災の語り部の方についてご紹介します。。

 彼女からお聞きしたことは心に直接何かを突き刺されるような内容で涙が溢れました。

 そして、最後に話されたメッセージが今でも心に残っています。

 「自宅に帰ったら、家族にありがとうと言ってください。そう言えることは決して当たり前のことではありません。それが言える幸せをもう一度感じてほしい。言いたくても、そう言えない人もいます。」

 最後の言葉を肝に銘じていきたいと思います。

以上

こんなレポートを頂きより一層、東北の方々と交流を持ちたいという気持ちが高まって来ました。

バスツアーを通して、応援をしに行った我々が元気をたくさんいただきました。

バスツアーの次回のレポートは、東京からの参加者からを予定しています。

乞うご期待!!

T2S事務局・広報担当

2012年8月3日金曜日

【報告】東北応援バスツアー・被災地の今を見つめた48時間レポート(1)

震災から505日。被災地の今を見つめ、応援したい。

復興の現場から学び、実践したいという思いの下に集まった40名以上のメンバーが、被災した南三陸町と隣接している登米市に向かい、現地で様々な復興活動をしてきました。今回の東北応援ツアーで彼女ら、彼らが体験してきた48時間について報告します。


○今回のツアーのポイントは、2点ありました。

①これからの復興のために、まずは現状を知り友情を育もう。
 被災地の復興は長い年月を必要とします。継続的な支援をするために、現地で直接、当事者からニーズ、抱える課題を聞き、共有します。被災地に勇気を与えるのは、共に悩み考えてくれる「友人」が周りいてくれること、という観点から。私達は「応援する友人」であること示すため現地に向かいました。

②ともに立ち上がろう!東北×東京×南三陸の連携を活かす。
 三人寄れば文殊の知恵です。被災した現場の人、被災地の近隣で支える人、首都圏の都市の人。三位一体となれば、よりよい復興活動ができると考えています。いま復興で頑張っている人達の活動から学び、つながり、復興の新たなイノベーションを起こす。このツアーをきっかけに、東北を中心とした、日本全体の復興を目指すための仲間をつくり、連携するため、現地に赴きました。

○「楽しく東北の復興を応援する」ということ

7月27日午後11時00分。

被災地を応援したいという思いを乗せたバスが、現地に向けて出発しました。片道6時間超の移動中、車中では参加者の自己紹介と併せて、「今回の現地入りに対する思い」と「持って帰りたいもの」について、各人が思い思いに語りました。

今回のコンセプトは、「楽しく」東北の復興を②「応援する」ということ。これは、震災から505日が経過し、復興支援としても次のステージが求められる段階にある、という点を踏まえた結果です。震災直後は、多くの人が被災地のために何かしたいという思いに突き動かされ、現地にも多くの人が訪れました。しかし、震災から505日が経過した今、ピーク時のような関心は残念ながら薄れ、「被災地がメディアで取り上げられなくなった。テレビの露出も確実に減った」(登米市物産協会・三浦局長)という声も、現地からは聞かれます。

 
また、現地で求められるニーズにも、変化が起きています。震災直後は、とにかく実働人員、実物支援などの絶対量が不足していました。しかし、震災から505日経った今、現地で求められているのは何かを、我々は考える基点に来ています。「現地では野菜が足りないらしい、という投稿がSNSでなされた途端、仕分けしきれないほどの膨大な野菜が届いた」(現地関係者)という声からも分かるように、まず現地に飛び込むことで、「今の」現地に求められているものを把握する必要があります。


こういった課題を克復するスキームとして、まずはボランティア等の参加者が、より一層のやりがいと誇りを持って取り組むことのできる仕掛けづくりをすることで、現地の悩みの種である参加者数減に歯止めをかけ、「現地の今を知る人達」を確保することに加え、被災者や支援者といった立場を超えた、みんなが楽しく元気になれる、新しい発想の復興活動の形を考えるツアーでもありました。その活動のコンテンツとしては、「応援」というスモールスタートから「支援」につなげるという点をミックスすることで、より多くの人を巻き込んでいくロールモデルを検証する狙いもありました。

28日午前7時40分。

南三陸町と隣接する登米市に到着しました。今回のツアーの目玉の一つは都庁チアダンス部・Lilly gullやブレイクダンスによる復興応援パフォーマンス。この日のために約3ヶ月間、彼女らは猛練習をしてきたとのことです。

慣れない車中泊であまり眠れなかったにも関わらず朝練を敢行。他のツアー参加者もハンド・クラップの練習で一体となって練習し、本番に備えました。

 
○東北を元気にしている人達との合流

チアの練習後、登米市公民館で東北を元気にしている方々との交流会のため、会場設営をしました。その後、登米市役所から、初日のパフォーマンス会場である登米・南三陸観光物産・震災復興センター(登米・南三陸フェスティバル)に到着し、東北まちづくりオフサイトミーティング(以下、東北OM)のメンバーをはじめ、全国から被災地に派遣されている仲間達と合流しました。

東北OMは、東北にある自治体職員が中心となったプラットフォーム。東北というフィールドでまちづくり・組織づくり・人づくりを目指し、官公庁のみならず民間企業の職員や学生など様々な立場の人が交流・活動しています。東京を中心に活動するT2Sと東北OMとは、地域こそ違えどその活動には互いに共感することがあり、今回のツアーでの交流は、双方にとって切磋琢磨できる機会を得ました。ちなみに、両者とも、地方自治情報誌「月間ガバナンス」(株式会社ぎょうせい)で紹介された間柄ということもあり(しかも、東北OMは2010年7月号、T2Sはその翌月8月号)、彼らとの合流は大いに盛り上がりました。

その後、登米市観光物産協会の阿部会長・三浦会長はじめ、被災した南三陸のために隣接した登米からできることを考えている人達との交流となりました。

登米・南三陸フェスティバルのオーナーでもある物産協会の阿部会長からは、「一生涯をかけて南三陸の復興に全力を注ぐ」「緊急時こそ、柔軟な対応が求められる。若い皆さんには、そういった感覚をもってもらいたい」というお言葉をいただきました。また、三浦局長からは、「被災地の今を知って、一人でも多くの人に正しい情報を伝えてほしい」「現地で何が必要とされているのかを、見つめてほしい」と、復興支援活動を考えるにあたって、とても重要なヒントをいただきました。

被災地を思う全国の仲間達と東北で出会い、繋がる。この縁を、今回の被災地応援のみならず、日頃の仕事や今後の社会人生活に還元していきたいと感じました。


○復興活動から学ぶという姿勢

午前10時30分。

ツイッター中継担当の岩崎ポスト(右)は記録カメラも担当。

交流会の途中でしたが、この2日間のチアダンスやブレイクダンスのパフォーマンスを告知するため、地元コミュニティFMラジオ「H@! FM」(はっとエフエム)の地域情報番組で周知しました。会場の外には、番組お馴染みの真っ赤なキャラバンカーが止まっていて、現地からイベントを生中継してくださいました。チアダンス部キャプテンからは、パフォーマー達の溢れる元気で被災地を応援したいという気持ちを、T2S広報からは、復興しつつある被災地のキーパンソンから学ぶという、今回の企画の趣旨を伝えました。また、この2日間、自分達は黄色いバンダナを付けている旨を伝え、現地の皆さんと仲良くなりたいので、黄色いバンダナを見つけたら気軽に声を掛けてほしいと呼びかけました。

12時00分、正午。

 
山の幸@登米と海の幸@南三陸のコラボ弁当
正午は、登米の山の幸と、南三陸の海の幸が一度に堪能できる復興弁当をいただきました。阿部会長のお話の中にもあったように、両地域の強みを活かすという戦略は、観光振興が鍵となっている両地域の予てから取り組みだということでした。世間では、震災を契機にこういった特段の復興活動がなされた、という文脈で捉えられがちです。しかし、阿部会長をはじめとした復興のキーパーソンの方々のお話を伺うと、ここ最近腰をあげたのではなく、もっと昔から両地域の間で普通に、自然に行われてきた交流や連携という土壌があり、そういった素地があったからこそ、磐石な地域力に裏付けされた復興活動がなされているのだということを知らされました。

両地域はそれぞれ平成の大合併で誕生した経緯にも言及されていましたが、震災(2011年)どころか平成の大合併(2005年)よりも前から、現在の両地域に存していた11町村の間では、それぞれの地域の強みを活かす交流・連携があったというお話しもあり、むしろ行政区分はあとからやってきた(登米市と南三陸町という自治体としての連携という捉え方は、ここ最近の感覚だ)という点は、特に印象的でした。

 

午後1時30分。

いよいよチアリーダー達による復興応援パフォーマンスが始まりました。会場には、家族連れをはじめ多くの人達が集まり、登米・南三陸フェスティバルに訪れた人達もハンド・クラップで参加し、一体となって盛り上がりました!

午後2時00分。

パフォーマンスの興奮も冷めやらぬまま、迫公民館にて、東北OMをはじめとした現地で活動している各プロジェクトリーダーの方々を囲み、雇用創出プロジェクトの経緯と課題について、意見交換をしました。









復興のアプローチは4つ。雇用マッチング、環境デザイン、商品開発、そして、復興教育。各プロジェクトリーダーがプレゼンをした後、各人がそれぞれ興味を持ったブースに移動し、グループディスカッション。最後に提言として発表しシェアしました。


午後4時30分。

我々がディスカッションをしている中、登米市の布施市長が多忙の中、会場に駆けつけてくださいました。急きょ予定を変更し、登米市長による基調講演をお願いしました。









布施市長のお話には、若い社会人たちはとても勇気づけられ、特に「最初から出来ないと思って仕事をしてはいけない。どうすれば出来るかを考えることが重要」だと、スピーチして下さいました。

○あの日、あの時を知ること

午後7時。
(注)写真はこの時間帯のものではなく、昼間に撮影。

食事を終えたメンバーが向かったのは、南三陸町の防災対策庁舎でした。昨年現地入りした私をはじめ、仕事で被災地に支援に行ったことのあるメンバーは、あたり一面が津波で流されてしまった1年前の風景を思い出しました。防災対策庁舎は、その建物の骨格と「防災対策庁舎」という看板だけを残して、夜の南三陸に今もなお佇んでいました。メンバーの中には今回が初めて現地入りした者もいて、被災した防災庁舎の前で、あの日起きた出来事を、凛として語る語り部・佐藤かつよさんのお話を伺いながら、涙ぐむメンバーの姿も覗え、心に訴求されるお話だったと、皆が切に感じました。



その後、宿舎にもどり、今日体験した出来事を皆で話し合って、翌日に備えました。

明日はいよいよ、南三陸町の福興市!これで初日の報告を終えます。

後半のレポートも、乞うご期待。

以上

報告:ひらま忠太(FB)・岩崎ポスト(TL)