2010年11月28日日曜日

白熱教室報告会レポート!「都庁でサンデル教授の話をしよう。」

11月5日に都庁で開かれた、「都庁版・白熱教室」スタッフが語る白熱教室参加報告会の報告を以下の通りいたします。




第1部スピーカー:平松さんによる白熱報告
 NHKで放送され人気を博している番組、ハーバート白熱教室in Japanに参加してきたT2S代表・漆原と同広報・平松による報告会を行いました。開場には30人もの人数が集まり、国家公務員、地方公務員の他高校生まであらゆる背景を持つ方々と意見交換することができました。
白熱教室についてはご存じの方も多いでしょうが簡単に説明します。白熱教室はハーバート大学のサンデル教授が同校で行っている一般教養の授業で、政治哲学を扱っています。政治哲学と言っても学問的な答えのある一方的に教えるような内容ではなく、対話しながら一般的な話題についてだんだん深く掘り下げていくうちに政治哲学的思想を体感するようなタイプの授業内容となっています。

この授業がハーバード大学であまりに人気ある授業となりNHKがとりあげ、そしてついにサンデル教授が来日して東京大学にて授業を行いました。

白熱教室のすばらしいところは①普段一人ひとりが考えていたことを可視化し、自ら自分の考えをはっきり知ることができること、②自分と違う意見を知ることができること、そして③その後、自分の考えていることを理論づけて考えられるようになること、と言えるでしょう。特に③がサンデル教授の授業の特徴で、授業で扱ったテーマ以外に考え方が応用できることが他とは違う点です。たとえば自分が考えている正義とは最大多数の最大公益なのか(ベンサム)、善意なのか(カント)、美徳と共通全を育むことなのか(アリストテレス)を日常から分析してとらえることができるようになります。すると自らの考えが普段から整理されるようになり、わかりやすくなることで自分の中で考えをさらに発展させることができるようになるのです。
第2部スピーカー:漆原さんによる白熱教室
さて、この報告会ではサンデル教授の授業の報告のみに留まらず、実際に白熱教室を再現してみました。テーマはT2Sらしく、地方自治体が水ビジネスに参入することについて、議論しました。議論は想像以上に白熱してしまい、話が飛び火状態に!誰も発言しないことを心配していたのに話が盛り上がりすぎて大変なことになってしまいました。

ここから感じられることは、やはりファシリテーターの力は上記の白熱教室で感じられる3つの効果を生じさせ、また議論を深めることに不可欠であるということです。白熱とは言えども、ただ熱くなるだけではなく議論を取り仕切る人がはっきりとした目標を持つこと、一方でその意図を感じさせすぎることなく各人に自由に考えさせ発言させた上で気づいたときには取り仕切る人の意図する方向に議論が進んでいること、そのようなバランスをとることが求められるのでしょう。

今回の議論は意見のぶつけあいになってしまった感じがあり、多くの人は話の方向についていけず戸惑ってしまっている場面がありました。議論を深め、考え方を学ぶ、というような本家の白熱教室とは違ったものになってしまったかもしれません。しかし逆にそれぞれが感じていることを素直に自由に発言する場面が多かったが故に意見交換としては良かったのではないでしょうか。地方自治体が行う水ビジネスという切り口からかなり多岐に渡った範囲の考えを聞くことができました。具体的には地方自治体はだれのために働くべきなのかということ、地方自治体の意思決定主体、意思決定方法はビジネスのような素早い判断が求められる場面ではどのように行うべきなのかということ、そもそも水ビジネスと一言で言っても利潤を得て自治体の財政を支えるためにやるのか、水メジャーから地球環境を守るためにやるのかということ、、結局どれも結論を出すまで議論はできなかったものの、議題を深めることができたのは大きなはじめの一歩と言えます。
白熱会場の様子
改善の余地があるということで、次はもっと時間をとって行いたいですね。きっともっと白熱した議論ができることでしょう。

レポート作成:T2S猪俣


ご参加頂いた多くの方々、本当にありがとうございました。次回、白熱教室も宜しくお願いします。