2010年7月時点で225万人も存在していると考えられているひきこもり。そんな彼らが3.11時点、あるいはそれ以降どのような実態にあったのかについて報告し、問題を共有しようと企画したのが、今回のイベントでした。
まず、オーガナイザーから、何度も被災地に足を運び、「災害弱者」として捉えられるひきこもりについて丹念に取材したことについてプレゼンされました。
また、スピーカーの斎藤さんも、精神科医としてのお立場やご見識で、示唆に富むお話をして下さいました。
3・11当時、津波よりも外に出て地域の知り合いと出会うことに恐怖を覚え、体が動かず、避難することのできなかったひきこもりの方がいたことや、避難できたとしても、避難所での集団生活に馴染めず、苦労されたひきこもりの方がいたことなど、現地に行かなければ知ることのできない、貴重なご講演でした。
その後は、各スピーカーのもとに参加者が集まって議論をするダイアログが開催されました。当日はニコニコ動画の中継もあり、カメラ位置を気にしながら、両先生たちへのショットに「カブ」らないように、意識をしながらのファシリテートとなりました。
会場で特に強調されていたのは、「つながった人」には「フラット化」と「人のため」という2つの現象が起きていたということでした。
例えば就職できなかったことにコンプレックスを感じひきこもっていたが、震災でそれどころではなくなり、外に出ていけるようになったことや、買い出しやボランティアといった役割を与えられることによって、「自分でもできることがある」という自信がついたなど、「ピンチは、実はチャンスの裏返しである」というメッセージが、私には聞こえました。
また、斎藤氏がおっしゃっていた、社会関係資本(人的ネットワーク、縁)格差が災害時により大きな差として顕著にあらわれるというお話が印象的でした。災害時に有益な情報をホームページで情報をいくら更新したところで、「いつの間にか更新されてた」ということにすら気付けない人が、たくさんいた。そういう意味で、「縁」の再構築が必要なのだと思いました。
T2SでもNHK「日本の、これから」座談会参加を契機に、無縁社会について、これまで1年間研究してまいりました(後述)。その話題に引きつけて考えると、今回、震災を機にひきこもりから脱却した人の、その脱却できたボーダーが、「自分の役割を見つけた」ところにあったとするならば、これは有事でないときでも、このような手法でのコミュニティの再構築は可能ではないかと思えました。以前も述べさせていただきましたが、ひきこもりたちの大震災やってから考えが逆転した。この問題は無縁社会が原因というより、濃厚な有縁社会(親や地域のしがらみ)がひきこもろうとする動機で、結果として無縁になったのだと考えるようになりました。今まで漠然と、無縁社会というテーマには、ひきこもり問題があって、漠然と、無縁社会を原因として、ひきこもり問題が生まれたと考えていたのですが、どうやら、その直接的な因果関係はむしろ真逆だったのでは、と仮説を持つようになりました。
つまり、ひきこもり問題のきっかけは、個人の話でいくと色濃い有縁社会からの脱出だったのかもしれないが、その結果としての無縁社会がある一方で、それを助長させてしまうのも無縁社会なのではないかと。「お宅の息子さん、最近見かけないね」の一言が無い社会(無縁社会)が、その状態を助長させてしまうのではないかと、考えるととても逆説的で、コロンブスの卵のような議論ですが、こういった複合的な要因が、この問題にはあるのではないかという知見を得ました。
なにやら難しい話をしてしまいましたが、そんなことを考えているうちに、懇親会の時間となりました。懇親会では、「美味しい社会貢献」をモットーとしているソーシャルエナジーカフェさん(http://www.socialenergy.co.jp/cafe.html)のお料理を頂きました。とても美味しく、そして字のとおり社会貢献にも寄与する、とても素晴らしい取り組みだと思いました。
今回のイベントで得た収穫は、とても大きいと感じました。次回行うイベント:無縁社会ワークショップ~「日本の、これから」から1年~(11.24@新宿)でも、この経験を生かして頑張りたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。
☆「無縁社会ワークショップ~「日本の、これから」から1年~(11.24@新宿)」を開催します!☆
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